実需が支配する米ドルレートその2


前回に続いて、米ドルの動きを実需という材料から分析する手法の解説です。

ここでしっかりと理解しておきたいのは、投機筋と実需筋の大きな違いです。文字通り本当にその通貨が必要な人のことを実需筋というわけですが、その理由によっては相場展開がどうなっていても、指定の期日に通貨が必要なので、FX投資家のように相場展開によって売買のタイミングを変えるようなことはしません。ここが、実需筋のとても大きな特徴です。

その一方で投機筋は相場変動によって利益を上げることを目的としているので、売買のタイミングを決めるのは相場展開です。極端な話、利益が出るのであれば売買のタイミングが1秒後でも1年後でも構わないのです。

例えば、多くの輸出企業では人件費支払いのためにドル売り円買いの取引を行ないます。海外で稼いだ外貨を日本円に両替して、その日本円で従業員の給料を支払うためです。給料日は毎月同じ日と決まっていますから、この円転取引が行なわれる日は、ある程度決まっています。

これが給料ではなくボーナスとなると金額も大きくなるので、多くの輸出企業が一斉に円転をする日が分かれば、投機筋もその日に乗っかってドル円の売りポジションを仕掛ければ、大相場に乗れる可能性もあります。

ここからは、実需筋が引き起こすドル円の買いタイミングについてお話しします。

これまでは、輸出企業が引き起こす実需ベースでのドル売り材料について解説しました。日本の輸出企業の代表格といえばトヨタやホンダなどの自動車産業や、パナソニック、東芝、日立などといった電機産業です。こうした分野の大企業がひとたび円転を行なうと、それはとても大きな「ポジション」になります。もっとも、実需筋は投機を目的としていないので、レバレッジは100%ですが。

さて、今回はその反対である実需筋によるドル円買いの材料についてです。ドル買いを行なう実需筋といえば、その多くは輸入企業です。貿易会社、商社、メーカーなど多くの日本企業が世界中から商品を買っていますので、その時に生じる代金決済で大量の米ドルが必要になるので、ドル円の買いが発生します。

こうした輸入企業は、いったいいつドル買いをしているのでしょうか。人件費の支払いをメインにしている輸入企業のドル売りと違って、こちらはその都度発生している商取引なので一斉に起きる動きを掴みづらいのが特徴です。

日本には古くから「ゴト日」という商慣習があることをご存じでしょうか。5日、10日、15日、20日、25日、30日という5と10がつく日を集金日にするという古い慣習です。

国際間の決済ではあまり意識されませんが、日本企業同士の国際間決済では意外に多く見られる動きなので、実際にゴト日になるとドル円相場に実需と見られる動きが出ることがあります。

あまりヒントとしては薄いですが、意識しておいて損はないと思います。





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