通貨ペアを選ぶコツ8

「有事のドル買い」という言葉をご存知でしょうか。戦争や大きな災害など、経済にダメージが及びそうな出来事があると、それが「有事」であると判断されて世界中の投資マネーが米ドルを買うためドル高になるという意味です。

この言葉は合っている面もありますが、反面で間違っているともいえます。ここ最近の有事を見てみると、北朝鮮情勢が緊迫すると円高になっています。

つまりドル売り円買いが進んでいるということです。北朝鮮の核開発は日本にも影響が及ぶのにナゼ?となるかも知れませんが、それはアメリカが北朝鮮情勢の当事者だからだと言われています。しかもトランプ大統領があの人柄なので、口先でことを荒げるようなことをすると、ドル売りを誘発します。

この他に「有事のスイスフラン買い」という言葉もあります。永世中立国のスイスは資金の逃避先として知られてきましたが、昨今では銀行業の衰退もあってそれほど意識されることはなくなりました。
それよりも最近は、有事の円買いが目立ちます。この理由はさまざまですが、次回に筆者の見解を述べてみたいと思います。

有事の円買いについて前回述べました。そのロジックを解説してみたいと思います。

ここ十数年の、有事の円買いっぷりは凄まじいものがあります。なにせ日本経済に大ダメージを与えた東日本大震災ですら、強烈な円買いが進んで円高になったのですから。

米ドルとシーソーのような関係にあるユーロの足元が、ギリシャ問題やイギリスの離脱など不安定化していることもあって、米ドルから逃避してきたマネーが日本円に向かいつつあります。これを外為相場の世界では「リスクオフ」といいます。

リスクを取りやすい経済情勢(つまり平和)であれば円売りになり、リスクと取りづらい有事になると円買いに走るという構図です。この構図はFX投資家のすべてが理解しておくべきなので、初心者の方もぜひ覚えておいてください。

つまり、外貨を買っている時に有事が起きると買いポジションが危険に晒されます。これは対円のどの通貨ペアを選んでも同じことなので突然起きる有事に備えて損切りの注文はしっかりと入れておきましょう。

次回からは、その損切りについての解説です。



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