レパトリとは？

実需をベースとしたドル円分析の手法を前回までに詳しく解説していますが、今回もその流れを汲んだ「レパトリ」についてお話ししたいと思います。

このレパトリというのも為替用語として頻繁に登場します。FXでもレパトリのことを知っておくメリットは大きいので、情報サイトなどにもよく登場しています。

このレパトリというのはレパトリエーション（Repatriation）の略で、本来の意味は本国への送還、復員という意味を持っています。戦地に行っていた兵士が本国に帰ることを指す言葉としても使われています。

FXの世界での兵士とは、言うまでもなく投資金です。その投資金が本国に帰ってくる動きのことを、レパトリと呼んでいます。

では、どんな時にレパトリが起きるのでしょうか。前々回のメルマガで日本の輸出企業が人件費の支払いを目的とした円転を行なうというお話をしましたが、これも一種のレパトリです。

ただし、こうした月単位の円転は商取引の一環という程度の認識で、本格的なものではありません。最も本格的なレパトリは、投資先の国から一切の資金を引き揚げることです。最近ではチャイナ・リスクを感じた日本企業が中国から資金を撤収する動きを加速させていますが、これもレパトリです。

しかし、こうした地政学的なレパトリはしょっちゅう起きるものではないので、FXトレードにあまり関わりがありません。

よく使われているのは、決算期になった国際企業が自国に通貨を一度戻して決算を行なうという際に起きる動きを利用するというトレードです。日本企業は3月末に決算が集中しているので、3月に入るとレパトリを意識したドル円トレードが頻繁に行なわれています。