日本の貿易収支

前回はアメリカの貿易収支がドル相場に与える影響について解説しました。

米ドルはアメリカの通貨であるのと同時に、国際間の決済通貨でもあるので、アメリカの貿易収支、つまりアメリカからの資金流出がどの程度であるのかということは世界の経済にも大きな影響を与えます。

そこから話は変わって、今回は日本の貿易収支にスポットを当ててみたいと思います。

日本の貿易収支なので日本円の相場にしか影響を与えないと考えられがちですが、日本円がここまで国際的に大きな存在感を持つようになると、それだけの問題では済まなくなっています。

近年、日本は貿易収支の縮小が続いています。単月では貿易赤字になることもザラで、以前では考えられないことでした。巨額の貿易黒字を続けてきた結果、日本はとても豊かになりましたが、その一方で貿易不均衡であるという批判にさらされ、アメリカでは日本車の打ち壊しショーなるものまで開催された有様です。

この頃は日本の貿易黒字が当たり前で、いかにしてそれを減らすかというのが政治的な課題でした。1人あたり100ドル、外国製品を買いましょうという運動もありましたが、今では懐かしいですね。

今は状況が変わって、貿易赤字が当たり前になっている日本経済です。貿易赤字が続くと円安基調になります。アベノミクスもあって一時的に進行した円安が今は定着していますが、今後も赤字が続くようであれば円安は一層進行するでしょう。

そうなると消去法として変われるのが米ドルなので、日本の貿易赤字を背景にしたドル買いはしばしば起きると見られています。